スミマサノリ「月曜日にオジャマシマス」

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何だか今年は実感が薄いが暦的には夏である。真夏である。そして、真夏といえばスイカだろう。夏に縁側でスイカを食べる。
それが正しい日本の夏なんだと思う。でも、今の家に縁側なんてないし、夏だからといって青果店に走ってスイカをゲットしようとも思わない。お金を払えば真 冬でもスイカを食べられる時代だ。夏だからスイカ、という発想が薄れているのかもしれない。それは多分、淋しいことである。季節毎に旬の食材を食べる。そ れが「自然」なのだ。いんちきナチュリストみたいなことを言い出してしまったが、そう思ったのだから仕方ない。

そう、真夏にはスイカを食べるべきなのだ。
そして、スイカのことをもっと知るべきなのだ。

例えば、スイカには種が何粒入っているのか? 僕は知らない。



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【スイカを買おう】

スイカは種があるから食べるのが面倒臭い。面倒臭いので種も一緒に食べてしまうことが多い。しかし、昔から「スイカの種を食べると盲腸になる」などと言わ れている。それはちょっと恐ろしいが、僕は小さい時に盲腸を取っているのでその心配がなかった。もし盲腸を取っていなければ、種をすべて出してきたかもし れない。スイカの種は体に悪い。なんとなくそう思ってきた。

しかし、本当にスイカの種は体に悪いのだろうか?

話が少し脱線するが、気になったので調べてみた。すると、スイカの種は体に悪いどころか、カリウム、リノール酸など数多くの栄養素が含まれていることが分かった。中国ではお菓子として珍重されているらしい。漢方薬としても使用されているのだとか。種をキレイに洗ってから陰干しして炒めたり、スイカの種を食べる方法があるという。今まで誤解していた。

そんなに栄養素がある物ならば、尚更である。
スイカ1玉に何粒の種が入っているのか。調べる必要がある。

スイカを求めて街に出た。

すると、


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居酒屋の軒先に

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「すいか入荷しました」の張り紙

居酒屋でスイカを売っていた。居酒屋でスイカを買ったことがないので少し戸惑ったが、1玉なんと650円である。安い。

是非ここでゲットしたいところであるが、まだ開店前だった。
ちなみにこの居酒屋さんは、


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「ちい散歩」で紹介されたお店

あの「ちい散歩」で生稲晃子さんが「いか、ホタテなどを食べ、大絶賛しました」というお店であった。放送が今年の4月23日なので、その頃はまだスイカは置いてなかったのだろう。今、生稲さんが来たら絶対にスイカを大絶賛したはずだ。

650円のスイカを諦めて、スーパーに向かった。
スーパーでは1玉1380円で売っていた。


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1玉1380円

生稲さんが大絶賛したお店の倍の値段である。生稲さんのお店が開店するまで待つべきだろうか。少し悩んだが、時間もないのでスーパーのスイカを購入することにした。


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良さそうなスイカを見繕って

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1玉購入

久しぶりにスイカ1玉を手に取った。ずっしりと思い。3、4キロはあるだろうか。
これが真夏の重さである。



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【神社の境内で種を数える】

「世界の中心で愛を叫ぶ」のような小見出しをつけてみたが、やることは単純だ。種を避けながらスイカを食べて、後から種の数を数える。それだけである。別に愛は叫ばない。


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神社でやります

なぜ神社の境内なのか?

それは、夏だからである。夏といったら神社の境内。そういうイメージがあるのだ。

ちなみに今回種の数を数えるスイカは「近江清広」さんが作ったスイカである。


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近江清広さんのスイカ

丹誠込めてこのスイカを作った近江さんのためにも、きっちりと種を数えなければならない。

強い使命感に駆られながら、用意しておいた包丁でまずはスイカをまっ二つに切った。


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スイカを

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2つに切る

スイカを2つに切りながら、そういえば去年も同じように記事の為にスイカを切っていたなぁ、と思い出した。

磯野カツオ・メソッド(2008/7/8「みんなのテレビ」に掲載)

去年はスイカを7等分することに挑戦し、今年はスイカの種を数えようとしている。
これは成長なのだろうか、それとも…。

細かいことを考えるのはやめて、今年は普通にスイカを8等分した。


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8等分

食べ易いサイズにカットしたら、あとはひたすら種を避けながらスイカを食べていく。


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食べる

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種を

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避ける

簡単に「スイカを食べていく」と書いたが、これが簡単ではなかった。なんたってスイカ1玉である。3、4キロの重みがあった、あの1玉である。大食いを生業としていない一般人にとって、スイカ1玉は相当こたえる。1切れで充分なのだ。

とても全部を食べ切れる気がしない。


ここから長い戦いが始まった。


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あ、種?

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半分食べてしまった

ガリッと種を噛み砕いてしまったり、勢いあまって飲み込んでしまったり。そういうトラブルがある度に、メモ帳に「正」の字を書いていった。選り分けた種を数え終わったあとに、その数をプラスするのだ。


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半分経過

4切れ目に入り胃袋の限界がやって来た。

勢いをつけるため、その昔ドリフで志村けんさんがやっていたスイカの早食いをやってみる。サクサクサクサク。志村さんは数秒で1切れを食べ切っていたが、実際にやってみてそれが無理なことが分かる。やはりドリフターズは偉大である。


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最後の1切れを前に途方に暮れる

フルマラソンでは35キロメートルを過ぎた辺りから、ランナーズハイという状態に入るという。

最後の1切れを前に、そういう状態が訪れるのを待ってみた。

ランナーズハイはやって来ない。
重苦しい気持ちのまま、最後の一切れを何とか胃袋に押し込んでいく。

そして…。


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何とか完食

約1時間かけて、スイカ1玉を食べ切った。

充実感はない。
とにかく胃袋がつらい。パンパンだ。

選り分けた種が紙皿を埋めている。


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これがスイカ1玉に入ってた種

これが多いのか少ないのか、スイカを1玉食べ終わった僕には判断出来なかった。とにかく、これだけの種が入っていたのだ。


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ダウン


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【事務所で数えます】

神社の境内で種を数える、と小見出しで宣言したが、食べ終わった時点で時間がなくなってしまった。次の仕事が入っていたのだ。

選り分けた種をハンカチに包んで次の仕事に向かった。

次の仕事で会う人は、まさか僕がスイカ1玉を食べ切った後だとは思わないだろう。そして、1玉分の種を持っているとも。


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カウント開始

打合せを終えて事務所に戻り、さっそく種を数え始めた。
10粒ずつの塊を作って数える作戦だ。

過去にお米を1万粒数えたことがある。(「1万人ってどれくらい?」これも去年の7月だ)

それに比べれたらこれくらいは容易い。


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カウント終了

カウントの結果、351粒であった。それに食べてしまった種の数「15粒」をプラスすると……、

スイカ1玉には366粒の種が入っている。

という結果が出た。
閏年の日数である。


※あくまでも近江清広さんのスイカでの検証結果です。


(2009/8/17 住正徳)

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