今から10年くらい前、MISIA初の武道館ライブを観に行った。その時のMCで「前日は緊張して眠れなかった。眠れなかったので1万人ってどれくらいかと思い、米粒を数えてみた」みたいな事をMISIAが言っていた。あんなに迫力のある歌を歌うのにかわいい人なんだなあと感銘を受けた記憶がある。あれから10年、米粒1万粒ってどれくらいだろう、とずっと頭の片隅に引っ掛かっていた。MISIAは数えている途中で眠ってしまったと言っていたので、1万粒がどれくらいか知らないはずだ。MISIAも気にかかっているに違いない。そんなMISIAの為にも僕が数えるべきなんだと思う。 |
【作業開始は深夜1時】 やる事は簡単だ。お米を買ってきてひたすら数えればいいのだ。今まで、何かを1万個数えた経験がないので、どれくらい時間がかかるのか見当もつかない。1粒数えるのに1秒かかるとして、1万秒。約166分かかる計算だ。結構かかる。時間の余裕がある時に数えるべきであるが、色々な仕事が立て込んで作業開始が深夜1時になってしまった。 朝が来る前には済ませたい。 無洗米のあきたこまち2kgを用意 適量を机の上に出して ひたすら数える 机の上に広げた米粒の山から10粒ずつ取り分けていく事にした。10粒取り分けたら「正」の字に一画 足していく。「正」の字が200個になれば1万個である。 10粒ずつ取り分けて 正の字を書いていく 指先に米粒がくっついてしまうので中々スムーズにいかない。1粒1粒に神経を使い、「包み込むように」米粒を扱っていく。 これで100粒 500粒 1000粒 やっと10分の1まで来た。ここまで40分ほどかかっている。ってことは、残りの作業に360分もかかるということか。 まずい、朝になってしまう。机の上が「陽の当たる場所」になってしまう。 1000粒で既に飽きた 今までの作業の10倍がんばらないといけないのだ。 などと考える事はやめにしよう。途方に暮れてしまう。とにかく、機械の様に無心で数える。それしかない。 きっと出来る。自分を「BELIEVE」だ。 ただひたすらに 3000粒達成 1時間20分が経過して3000粒。武道館はまだまだ満席にならない。 ペースアップを測りたいところだが、今度映画化される「20世紀少年」が気にかかる。一度は読んだのだが、何カ所か分からない部分があるのだ。 作業の手を休め、「20世紀少年」を読み返す。 「20世紀少年」を読んでみたり 「20世紀少年」を読んでいたらニンニクラーメンが食べたくなってきた。しかし、夜中のラーメンは体に悪いと聞く。「20世紀少年」とニンニクラーメンをあきらめて、お米の作業に戻る。「ESCAPE」はここまでだ。 5000粒達成 2時間でようやく折り返しポイントである。「EVERYTHING」を数え終わるまで、あと2時間はかかりそうだ。 さすがに眠い 数分の仮眠を取って、再び作業だ。 「眠れぬ夜は君のせい」。お米の粒にそう言ってみる。 果てなく続くストーリー 朦朧とする意識の中、ついに9000粒まで辿り着いた。 もうゴールは近い。 9000粒! 残り1000粒となって僕のモチベーションがグンっと上がる。ゴールが見えると頑張れるのだ。 早くMISIAに1万粒を見せてあげたい。 そして残り100粒を数え終わり ジャーン!これがお米1万粒だ(大きさ比較のために100円玉を置きました) そして4時半、ついに1万粒を達成した。 途中、飽きたり眠かったり漫画を読んだり、紆余曲折はあった。しかし、ついにやりきったのだ。 お米1万粒。 重さにして195グラムであった。 195グラム ふと、空を見るとすっかり夜が明けていた。 「名前のない空を見上げて」僕は思った。 これを達成したからどうなんだ? 夜が明けた |
翌日、1万粒のお米を炊いてみる事にした。 どれくらいの量になるのだろう? 鍋で1万粒のお米を 炊きました 大きさを確認するため、おにぎりをつくってみて驚いた。 1万粒のおにぎりは結構大きい。普通のおにぎり2個分くらいはある。1万粒は伊達じゃない。 包み込むようにしておにぎりをいただきます あれだけ苦労して数えたお米である。 1粒たりとも粗末には出来ない。 (2008/7/14 住正徳) |