サントリープレミアムモルツのCMを見ると、無性にビールが飲みたくなる。矢沢永吉さんが若い女性から「待て!」をされるCMだ。缶ビールなのに生ビール のような泡立ちで、本当においしそうである。最初に勢い良く注いで泡立てて、少し待ってからゆっくりビールを注いでいく。僕もあのCMのようにやってみた が、どうもうまくいかない。泡立ちはするが、それが持続しないのだ。 缶ビールの限界だろうか? |
ハンドソープ ここで、唐突にハンドソープの登場である。今まで特に意識せずにハンドソープを使っていたが、良く考えたらあのボトルのメカニズムは凄いと思う。中には液体ソープが入っているのに、ポンプを押すと泡が出て来るのだ。それもキメの細かい良い感じの泡が。 あのポンプは魔法か? 魔法か? ある日、いつものようにハンドソープのポンプをプッシュしながら、ふと思いついた。 このメカニズムをビールに利用出来ないだろうか? ハンドソープのポンプでビールの泡をつくるのだ。そうすれば、きっとあのCMのようなビールを家で飲むことが出来る。 早速試してみた。 |
【実験の前に、ビールの泡について】 おいしくビールを泡立たせる前に、まずはビールの泡について知っておく必要がある。 そもそもビールの泡にはどんな役割があるのか? ネットで調べると、次のような働きがあることが分かった。 ・炭酸ガスが外へ逃げるのを防ぐ ・ビールが空気に触れて味が劣化することを防ぐ ・見た目に美味しい ビールをおいしくいただくためには、泡の役割が重要なのだ。ビールを空気から守るための「フタ」としての役割だけでなく、見た目の美味しさも泡が担ってい る。確かに、泡のないビールは見た目に頼りない。覇気がない。やはり、ビールには泡が乗っかっていて欲しい。そして、ビールが7で泡が3。この比率が理想 的だという。 理想的な比率のビールと美味しそうな餃子 改めて泡の重要性を認識したところで、「ハンドソープのポンプで泡をつくる作戦」を実行する。 |
【泡工房というポンプをゲット】 ハンドソープのポンプは凄い訳だが、あの容器をそのままビール用として使用するのはどうだろう? ずっと石けんを泡立ててきたポンプである。そこ を通って出てきたものを口の中に入れてはいけないと思うのだ。よーく洗ってから使うという手もあるが、どんなに洗ったとしても液体ソープが抜けないような 気もする。よーく洗ってから天日干しをすれば大丈夫だろうか? そういえば、僕の祖母は食器を天日干しをしていた。食器を水洗いした後に、縁側に並べて干すのだ。日光で消毒、という意図があったのだと思うが、ずっと外に出していたので埃の方が心配だった。 そうだった。天日干しは埃がついてしまうのだ。 やめとこう。 いきなり壁にぶつかってしまった。 ハンドソープのポンプ作戦は、絵に描いた餅で終わってしまうのか? 東急ハンズです いや、大丈夫です。 こういう時は東急ハンズに行けばいいのだ。キッチン用品のコーナーに、ハンドソープの容器が売っていた。 ハンズでみつけた ハンドソープの容器 その名も「泡工房」という商品である。節約エコグッズとして人気を集めているらしい。希釈した洗剤をキメ細かい泡にしてくれる。まさに今回の作戦にうって つけの商品である。内容量100mlの「泡工房ジュニア」を購入した。値段は599円。あのメカニズムが約600円で手に入るのだ。安い買い物である。 泡工房ジュニア しかし、泡工房の説明書には「ビールの泡立てに」という記載がない。あくまでも洗剤の節約用なのだ。 ビールを泡に変えることは出来るのだろうか? 一抹の不安を感じながら、泡工房にビールを入れてみた。ビールの銘柄は、サントリープレミアムモルツである。 泡工房にビールを入れる ボトルにビールを入れてフタをする。 あとはポンプをプッシュするだけだ。 泡は出るのか? プッシュ お!泡が出た 大成功である。 泡工房は見事な泡を作ってくれた。それもキメが細かくてクリーミーな泡である。ビールの泡はキメ細かいほど良いらしい。 見事な泡が こんなにあっさりとうまくいくとは思わなかった。 あとは、缶ビールをグラスに注ぐだけだ。 グラスは洗剤で良く洗って油分を落としてから、水洗いしておく。 洗剤で油分を落としてから水洗い 洗ったグラスは布巾などで拭き取ることはせずに、逆さまにして自然乾燥させるのが良いらしい。 自然乾燥中 グラスが乾いたら、いよいよビールを注ぐ訳だが、ここでビールの温度も気にしておきたい。ビールを冷やし過ぎると麦の成分が固まって味を損ねてし まい、逆に生ぬるいと喉越しが悪くなる。ビールの適温を調べてみると、6〜8度を目安とするのが良いらしい。ビールの種類などによってその限りではない が、まぁ、6〜8度の間なら大丈夫だろう。 ビールの温度をチェック グラス、ビールの温度、そしてクリーミーな泡。 すべての条件は整った。 グラスを傾けて、ゆっくりとビールを注いでいく。 グラスにビールを注ぐ グラスの7割まで注いだら、いよいよ泡工房の出番である。 いよいよ泡工房の出番だ! 泡を 注入 そして出来上がったビールがこれだ! 生ビールのような缶ビール! どこからどう見ても、生ビールのようである。 矢沢永吉さんが「待て!」をされるCMに出て来る、あのビールが今、僕の手中にある。 見た目はバッチリだ。 肝心の味はどうだろう? 味見 泡がクリーミーでおいしい。 オールオッケーである。 泡工房のおかげで、缶ビールをおいしくいただくことが出来た。 |
今回、缶ビールを生ビールのようにして飲む方法を模索した訳だが、実を言うと、缶ビールをグラスに空けず缶のままグイグイ飲むのも嫌いじゃない。特に新幹線の中で飲む缶ビールは最高だ。 だったら今回の実験は何だったんだ? 自分でもそう思う。 しかし、今回のような飲み方を編み出したことにより、ビールの楽しみ方の幅が広がったことは確かだ。ちょっとしたホームパーティの時などに、泡工房で泡立てたビールを出す。いい感じである。 (2009/10/19 住正徳) |