スミマサノリ「月曜日にオジャマシマス」

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マックでポテトのサイズを聞かれると、反射的に「Lで」と答えてしまう。マックのポテトは確かにおいしくて癖になる味なのだが、本当はLだとちょっと多い。いつも全部食べきれない。それでも反射的にLを頼んでしまうのは、店員さんの前でいい恰好をしたいからだと思う。Sなんて小さいことは言わず、男は黙ってポテトのL。僕の見栄っ張りな部分である。

Lサイズを平気で完食する男。
そういう者に私はなりたい。

と、思っている。

そこで考えた。マックのポテトをはるかに越えるような、大きいサイズのフライドポテトをつくったらどうだろう? ポテトの量がLサイズなのではなく、ポテトそのものの大きさがLなのだ。

でかいフライドポテトを食べて、男っぷりを上げていきたい。



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【長芋で作ります】

マックのようなフライドポテトはどうやって作るのか? 調べると分かりやすいレシピのページが出て来た。作り方は簡単だ。

・ジャガイモを細切りにする。
・水にさらす。
・水気を拭いて塩こしょう。
・小麦粉を多めにつけて、高温で揚げる。

ジャガイモをそのまま揚げると、あのホクホクしたフライドポテトになるのだ。これだったら僕にでも出来る。が、今回は大きいフライドポテトをつくりたいのだ。普通のジャガイモだと、せいぜい15センチくらいしか取れないだろう。それじゃダメだ。


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普通のジャガイモじゃダメだ

長くて太いフライドポテトをつくるにはどうしたらいいのか?

答えは簡単だ。長くて太い芋を使えばいいのである。
そう、長芋だ。長芋を揚げて大きなフライドポテトを作っていく。


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長芋を

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使う

売り場には埼玉県産と群馬県産の長芋が売っていた。埼玉県産の長芋は太くて、群馬県産は細い。たまたまそういう長芋だったのか、それぞれの県によって太さに特徴があるのか、詳しいことは分からない。

とにかく、太めの埼玉産を3本と細めの群馬産を1本購入することにした。

でかいフライドポテト作りとは関係ないが、「手紙のついた野菜」というジャガイモが売っていたことをご報告しておこう。野菜に手紙がついてるなんて、とてもロマンチックだと思ったのだ。


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手紙のついた野菜

どんな手紙が同封されているのか?
商品を手に取って確認した。


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QRコードで手紙を読む仕組み

ジャガイモ1つ1つに手紙が付いている訳ではなく、印刷されたQRコードを携帯で読み込む仕組みであった。

「そっちの生活はどうだ? あまり無理しちゃダメだぞ
 今年獲れた新ジャガ送るから、食べなさい」

みたいな手紙が付いてると想像したのだが……、残念である。



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【マックの思い出】

唐突ではあるが、ここで僕のマクドナルドの思い出を語らせてください。

今から20年以上も前、僕が高校生だった時、マクドナルドでアルバイトをしたくて面接を受けたことがある。事務室で店長さんが面接してくれた。十分にやる気をアピール出来たので絶対に受かると思っていたのだが、後日、不採用の連絡がきた。

当時、マックのバイトは人気が高かったので、仕方なかったのかもしれない。しかし、あの時の挫折感は今でも忘れていない。

今回、大きいフライドポテトをつくろうと考えたのは、もしかしたら、あの挫折感が影響しているのかもしれない。バイトに受からなかった俺だって、こんなに大きなポテトを作れるんだ! という心の叫びのような。

それはともかく、スーパーで食材を買った帰りにマックに寄った。
参考のために、ポテトのLを買うのだ。


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大きなポテトの看板がTシャツを着ていた

マックの渋谷センター街店は今、期間限定でバラ色Tシャツの専門店を開いている。ピンクのTシャツばかり、全部で50種類も販売しているらしい。なので、大きなポテトの看板もピンクのTシャツを着ているのだ。

出来ればこれくらい大きいプライドポテトを作りたいが、それはとても無理だ。あんなに大きな長芋はないし、あれだけの大きさのものを揚げる鍋もない。


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ポテトを揚げる店員さん

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マックのポテトL

このフライドポテトを長芋で作っていく。

果たして上手く揚がるのだろうか?



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【フライドポテトづくり】

まずは買って来た長芋の皮を剥いていく。


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埼玉産と群馬産(右から2本目)の長芋

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皮を剥く

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皮を剥いた長芋(一番下が群馬産)

大きさ的には充分なのだが、長芋なのでヌルヌルしていて、皮を剥いていても滑ってしまう。この滑りがフライドポテトにどんな影響を与えるのか? この時点では想像も出来ないが、とにかく工程を進めるしかない。

皮を剥いた長芋を四角くカットしていく。
マックのフライドポテトなあの人工的な四角さを再現したい。


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長芋を四角くカット

ここでも長芋の滑りに悪戦苦闘することになった。
滑る包丁に細心の注意を払いながら切っていく。


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カット完了

これで大きいフライドポテトの形は整った。

一度水にさらした後、クッキングペーパーで水気と滑りを吸い取る。


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水気と滑りを取る

滑りを完全に吸い取ることは出来なかった。まあ、長芋だから仕方ない。

滑り取りをあきらめて、下味をつけることにした。
塩とコショウを振りかけていく。


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塩と

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コショウ

塩コショウで下味をつけたら、小麦粉を全体にまぶしていく。


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小麦粉をまぶす

さあ、後は揚げるだけである。

健康を気遣って、コレステロール0の油を用意した。大きなフライドポテトなので、なるべくカロリーを控えていきたい。


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コレステロール0の油を

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180度まで熱して

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揚げる

ポテトの長さと鍋の直径がギリギリである。

一度に4本全部を揚げようとすると、鍋がせまくてくっついてしまいそうだったので、2本ずつ2回に分けて揚げることにした。

1回につき10分弱、大きなポテトを揚げた結果、出来上がったフライドポテトがこれである。


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でかいフライドポテト

これだけだと、このポテトの大きさが分かりづらい。
マックのフライドポテトを並べてみた。


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上がでかいポテトで下がマックのポテト

こうして比べると、僕のポテトの大きさを分かっていただけると思う。1本がずしりと重いのだ。少し揚げ過ぎたようでマックのポテトと比べてどす黒いのが気にかかるが、その辺りは見逃していただきたい。

マックのポテト容器にでかいフライドポテト4本をさしてみた。


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でかいポテトでございます

「L」という文字のシールを作り、マックの「M」の上に貼ってみた。マックのMはサイズ表示ではないが、Mよりも大きいLという意味を込めたのだ。

つまりこれはマクドナルドではなく、エルドナルドである。


エルドナルドのフライドポテトを持って、マックのセンター街店へ向かった。
マックの前でエルドナルドのポテトを食べるのだ。


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マックの前のエルドナルド

道行く人たちが、僕のポテトを2度見していく。

「あれ何?」
「限定?」

みたいな会話が聞こえてくる。


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道行く人たちが振り返るほどの大きさ

僕のフライドポテトを見て、マックにお客が殺到したら大変だ。
早く食べてしまおう。


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でかいフライドポテトを

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食べる

ちゃんとフライドポテトになっていた。長芋の滑りも消えて、味はマックのフライドポテトにかなり近い。良く出来ている。

しかし、4本全部を食べ切るのはとても無理である。1本で充分お腹いっぱいだ。マックのLサイズよりもはるかに大きい分、胃もたれの具合も強烈である。今度からポテトのサイズを聞かれたら、「Sで」と答えるようにしよう。


でかいポテトを作って食べて、色々と折り合いがついたような気がした。


(2009/6/22 住正徳)

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