スミマサノリ「月曜日にオジャマシマス」

40才を前にしてグッと白髪が増えてきた。もともと白髪症なこともあり、若い頃からチラホラはあったのだが、ここ最近、増加率が加速している。このペースで行けば、あと10年も経てば真っ白になると思う。それはそれで「ロマンスグレー」という便利な言葉があるので納得出来るのだが、問題はそこに至るまでの10年だ。

もちろん、白髪染めという物があることは知っている。両親も白髪症だったので、良く染めていたし、奇麗に仕上がることも分かっている。ただ、母親が「最近、髪の毛が薄くなっちゃって。白髪染めやり過ぎたからかしら」と言っていたのが気にかかっているのだ。母の薄毛の原因が本当に白髪染めなのかは定かではない。しかし、どうしても気になってしまうのだ。出来れば、薬品を使わずにナチュラルな方法で白髪を染めたい。

そこで思いついたのが「イカスミ」だ。イカスミだったら相当ナチュラルだろう。

試してみよう。

【イカスミペーストを調達】

しかし、イカスミはどこで売っているのか？　イカスミパスタを作ったことがないので全く見当がつかない。魚屋か？　魚屋だったらイカスミだけを譲ってくれたりするかもしれない。近所の魚屋さんを調べて電話で聞いてみた。

「イカスミだけ売ってくれますか？」

答えは「ノー」だった。イカを買わないとイカスミはついてこないらしい。

イカごと買うか？

いや、白髪を染める為にどれくらいのイカスミが必要かも分からない。下手したら20杯くらい買わないと足りないかもしれず、そんなにイカがあっても置き場所がない。

ネット検索をかけてみた。

そうしたら「イカスミペースト」という商品があることが分かった。イカスミがペースト状になっているのだ。原材料はイカスミと塩。純粋にイカスミだけではないが、塩だったらナチュラルである。海に入ったと思えば納得もいく。

紀ノ国屋にあるという。

イカスミペースト

1パック2袋入りで、イカスミのスパゲッティだったら4〜5人前出来るらしい。スパゲッティ4〜5人前が僕の髪のどれくらいにあたるのか、全く分からない。僕の髪はスパゲッティではないからだ。

どれくらい買ったらいいのか？

足りないと困るので、7パック買うことにした。スパゲッティにして35人前である。これだけあれば充分だろう。
1パック357円なので、合計で2499円。市販の白髪染めは1500円程度なので割り高である。しかし、なんたって天然素材である。天然素材は高め、と相場が決まっているのだ。

早速、事務所で毛染めを始める。

イカスミペースト。これでスパゲッティ4〜5人前

何でパイナップルの絵が描いてあるんだろう？
と思って良く見たらイカだった。

1袋4グラム入りなので、全部で56グラムのイカスミである。これを頭に塗っていくのだ。

毛染め4点セット

東急ハンズで「毛染め4点セット」なるものも買っておいた。ケープ、ビニール手袋、イヤーカバー、ブラシ付きくしが付いて105円。便利でお得である。

105円

これで準備は整った。
あとは、白髪にイカスミペーストを塗っていくだけだ。

ペーストの袋をやぶり、大きめの器に移していく。

ペーストを器に移す

勘の良い読者の皆さんなら、ここであることに気付くことだろう。

そう、生臭いのだ。
イカ臭いと言ってもいい。

部屋中にイカの匂いが充満し始めた。
これを頭に塗っていくのか？

生臭い…

全てのペーストを器に移し終わった。

そして、臭い。

イカスミペースト56グラム！

これを頭に塗る前に、僕の白髪具合を確認しておこう。
白髪染めをする前の状態は、こんな感じである。

白髪染め前

いつの間にこんなに白髪が増えてしまったのか。
ここ数年だと思う。

子供の頃、母親の白髪を1本1円で抜いてあげていたことを思い出した。たまに黒い髪を抜いちゃうと凄い勢いで怒られたりして、子供ながらに不条理を感じたものだった。

その頃の母もちょうど今の僕くらいの年齢だったと思う。
そして、白髪の量も今の僕くらいだったような気がする。

イカスミを塗って上手くいったら母親にも教えてあげよう。