字画には割りとこだわる方だ。僕の会社は「デジタルビイム」という名前だが、「ビーム」じゃなくて「ビイム」としたのは、一画多い方が運勢が良いと言われ たからだ。今から10年前、会社設立の際に、字画に詳しい友人からアドバイスをもらった。その友人は野末陳平さんの本を参考にしているらしい。 字画についてもう少し言うと、僕の名前「住正徳」はあまり良い字画ではないという。片仮名で「スミマサノリ」と表記するとかなり良くなると言われた。何かのタイミングで「スミマサノリ」と変えてみようかと思っている。 そんな風に字画の事を考えていたら、「一番画数の多い漢字」を知りたくなり、ネットで調べてみた。 まず、常用漢字で一番画数が多い漢字は、「鑑」で23画。 常用漢字で一番画数の多い漢字 意外と少ない画数である。 常用漢字の枠を越えて、漢字検定1級の中で一番画数が多い漢字は、 漢字検定1級で一番画数の多い漢字 いきなり読めない漢字が出て来た。鹿を3つ書くこの字は、音読みで「ソ」、訓読みで「あら(い)」と読むらしい。普通に変換しても出てこないので描画ソフトで作字した。 鹿が3つで、33画。まだ少ないように感じる。 そこで、諸橋轍次の大漢和辞典に掲載されている次の字が登場する。 何と読むのか? これは「テツ」「テチ」と読み、「言葉が多い」という意味なのだという。画数は一気に上がって64画。一般的にはこの龍4つで1文字の漢字が、世界で一番画数の多い漢字ということになっているとの事だった。 しかし、日本で独自に作られた漢字(国字)の中で、龍4つを越える字がある。 それは、 ? 雲が3つに龍が3つで「おとど」「たいと」と読むらしい。画数は驚きの84画。 残念ながら、この漢字を使用した書物などがなく、その存在を確証出来る訳ではないという。だが、ネット上に次のような記述があった。 『40年ほど前、とある証券会社に「雲」を「品」のように3つ書き、その下に「龍」を同じく3つ書く字で「たいと」と読む姓を名乗る人物が訪れ、名刺を残していったことがあるそうです。』 なんでも、2002年4月15日付けの熊日新聞にこのような記事が載っていたらしい。新聞に書いてあったくらいなので、多分、本当なのだろう。雲3つに龍3つで「たいと」さん。そんな難しい漢字の知人がいたら、宛名書きが大変である。 いずれにしても、この「おとど」「たいと」という漢字を「世界で一番画数の多い漢字」として、勝手に認定しようと思う。 そこで、世界で一番画数の多い漢字「おとど」をTシャツ化する事にした。難しい漢字がプリントされたTシャツを着ていれば、「それ、何て読むんですか?」と聞かれて「あ、これは『おとど』って読むんですよ」と答えたら恰好良いと思ったのだ。「世界で一番画数が多いんですよ」と補足したりすれば、グッとモテ度が上がるだろう。 よし、早速作ろう。 |
【世界一画数の多い漢字をTシャツに】 「おとど」をTシャツ化するにあたり、まず字の形をいじってみた。全体的にカクカクさせてテクノっぽい雰囲気にしてみよう。 画像処理ソフトで「おとど」を作字する。 字を作った 曲線は使わずに直線だけで「おとど」を表現してみた。 作字の結果 84画もあるので結構大変だった割に、中華料理の器っぽくなってしまった。テクノっぽくはない。画数が多いから仕方ない。 この中華風「おとど」をTシャツに刷り込んでいく。 Tシャツ作りには「Tシャツくん」というシルクスクリーン印刷の出来るマシーンを使う。 まず、作字した文字を「Tシャツくん」専用原稿用紙に出力する。 Tシャツくん専用原稿用紙 出力した原稿用紙にスプレーのりを吹きかけて専用スクリーンに張り、フレームにセットする。このスクリーンが版下になる訳だ。 スクリーンをセット スクリーンを張ったフレームをセッティングして本体の電源を入れる。 スクリーンを感光させるのだ。 電源オン 感光中 感光させる時はなるべく暗い方がうまくいく。 部屋の明かりを消して約2分、感光完了である。 本体からスクリーンを取り出して、専用の刷毛に水をつけてブラッシングする。 ブラッシング ブラッシングしていくと、柄の部分が透明になっていく。 この作業を怠ると柄が完全に印刷されないのだ。1画でも足りなかったら「おとど」ではない。雲3つに龍3つ、キチンと印刷しないといけない。 ブラッシングが完了したらティッシュで水分を拭き取り、これで版下の完成である。 水分を拭き取る 付属のプリント台を机に設置して、完成したスクリーン版下をプリント台にセットする。 プリント台にスクリーンをセット 専用プリント台にスプレーのりをかける。Tシャツを固定するためだ。 プリント台にスプレーのり 今回、「おとど」を印刷するTシャツは水色の物を選んだ。水色地に青く「おとど」。お洒落だと思う。 ベース色は水色 Tシャツをスクリーンの下に配置。スクリーン上に専用の水性インクをのせて、スキージという付属器具を使って柄の上にインクをのばしていく。 インクをのせて のばしていく 透明に抜けた柄の部分だけ、インクが落ちてTシャツに印刷されていく。 想像以上に奇麗に印刷出来てとても楽しい。 インクが乾くまで2、30分ほど放置した。 インクが乾いたらドライアイロンをかけてインクを定着させる。 アイロンをかける これで「おとど」Tシャツの完成である。 着てみよう。 おとどTシャツ 世界で一番画数の多い漢字 Tシャツくんのおかげで思い通りのTシャツを作る事が出来た。 世界で一番画数の多い漢字、のTシャツである。 昔の「一番Tシャツ」みたいに流行ったりしないだろうか? 外国人観光客をターゲットに売り込むという手もある。 ちなみに、 バックプリント 一応、背中に漢字の読みを入れておいた。 「それ、なんて読むんですか?」 と聞かれたら、黙って後ろを向いて見せるのも一興である。 今年もよろしくお願いします というわけで、2009年もどうぞよろしくお願いいたします。 (2009/1/5 住正徳) |