スミマサノリ「月曜日にオジャマシマス」

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事務所を今の場所に移転する前、僕の事務所の隣りの隣りはケンタッキーだった。ケンタッキーの前を通る度にその魅惑的な匂いに食欲を刺激され、気付くとお店の中に入っていた。かなりのハイペースでケンタッキーを食べていたと思う。お腹周りについた脂肪の7割は、ケンタッキーで出来ていると言っても過言ではない。しかし、引っ越してから半年間、そういえばケンタッキーを食べていない。近所にケンタッキーがないので、匂いに誘われる事がないからだ。だからといってお腹の脂肪が減った訳ではない。今の事務所の近所には、おいしいうどん屋さんとハンバーガー屋さんが2軒ずつあって、最近はうどんとハンバーガーでお腹の脂肪を増やしている。

でもどうだろう?
しばらく食べていないと無性に食べたくなるのがケンタッキーではないだろうか。今の僕がその状態だ。無性に食べたい。あの匂いを思い出しただけで口の中にツバが溢れてくる。

よし、半年ぶりにケンタッキーフライドチキンを食べよう。

と、久しぶりのケンタッキーに思いを馳せていたら、あるグッドアイデアが浮かんだ。ケンタッキーの骨で鶏がらスープを作ったらおいしいんじゃないか。普段だったら食べカスとして捨ててしまうあの骨を有効利用するのだ。

やってみよう。


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【ハッピープライスパック】

事前に調べておいた鶏がらスープのレシピによると、おいしいスープを作るには約1羽分の鶏がらが必要らしい。ケンタッキーのフライドチキン、何個買えば鳥1羽分になるのだろう?

店員さんに聞こうかとも思ったが、恥ずかしいのでやめといた。
「フライドチキンを1羽分」なんて頼んだら、店内がざわざわしてしまう。

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久しぶりのケンタッキーで

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ハッピープライスパックを

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鶏がら用に購入

結局、ハッピープライスパックというセットを2つ購入した。フライドチキン8つ分だ。ちょっと少ないようにも感じるが、鶏がらにするためにはまずフライドチキンを食べないといけないのだ。2パックくらいが限界だろう。

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フライドチキンが

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8つ

ハッピープライスパックを2つ、事務所に持ち帰った。
久しぶりのケンタッキー。やはり匂いがたまらない。ガブッと食らいつく。

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やっぱうまいわ

衣は油っぽいので完全に食べきって、肉は少しずつ骨に残すことにした。
ガブッ、ガブッ、ガブッ。

とにかく食べまくって、フライドチキンを鶏がらにしていく。

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2つ分の鶏がら

年のせいだろうか。フライドチキン2つですっかりお腹いっぱいになってしまった。これ以上食べたら胃がもたれてしまう。残るフライドチキンは6つ。

どうしよう?

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フライドチキンをさばく

包丁を使ってフライドチキンをさばく事にした。衣と肉を切り落として、鶏がらになる部分だけを取り出す。

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8つ分の鶏がら

こうしてフライドチキン8つ分の鶏がらが完成した。 衣と肉の部分はとっておいて、明日のお昼ご飯にしよう。

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明日のお昼ご飯


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【鶏がらスープ作り】

鶏がらスープに必要なものはざっと以下の通りだ。

・長ネギ
・ニンニク
・ショウガ
・りんご
・醤油
・お酒
・月桂樹
・黒こしょう

これらの食材を鶏がらと一緒に鍋に入れて水から煮込んでいく。

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水から煮込む

鍋がある程度煮立ってきたら、調味料を足す。お酒、お塩、醤油、黒こしょう。

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調味料を足す

この時点でキッチンに鶏がらのいい匂いが充満している。本格的なラーメンになりそうだ。

アクを取り除きつつ、とろ火でじっくり煮込む。
スープが白濁してくるまで、2、3時間。とにかく気長に煮込む事が必要である。

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2、3時間煮込む

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だんだんと

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スープが白濁してきた

都合、3時間煮込んだ。

かなり時間はかかったが、それが幸いしてさっきのフライドチキンが消化され、再び食欲が出て来た。

味見してみた。

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味見

あ、鶏がらスープ!
実に濃厚な鶏がらスープが出来上がっている。

これを使ってラーメンを作ったら……。うまいに決まっている。

火を落としてスープをボウルに移す。この時、ザルを使ってスープと鶏がらを分ける。さらにガーゼを使ってこせば、ケンタッキーの鶏がらスープは完成だ。

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ざるを使って

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鶏がらとスープを分ける

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更にガーゼでこす


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【ラーメンを作る】

3時間以上かけて完成したケンタッキーの鶏がらスープをベースにしてラーメンを作る。

鶏がらスープを鍋に戻し、再び煮込む。
このままだと濃厚過ぎるので、まずは水で薄める。

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水で薄める

水で薄めたら、次は味付けだ。

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味付け

醤油、ごま油、塩、こしょう。本当は、煮干しやラードなどを入れると更に深みのあるスープになるらしいのだが、そこまで準備が至らなかった。

まあ、大丈夫だろう。
こっちはケンタッキーを使っているのだ。

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味見

大丈夫だろう、と高を括っていたのだが、どうしてもラーメンの味になってくれない。鶏がらの濃厚さを感じる事は出来るのだが、全体的にさっぱりし過ぎている。

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ラーメンの味にならない

このままだとおいしいラーメンになってくれない。
それに、麺も用意しないといけない。

そんな2つの悩みを一気に解決してくれるのが…、

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サッポロ一番

袋麺のサッポロ一番である。
こういう事態に陥る事を予測して、用意していたのだ。

僕は袋麺の中でサッポロ一番が一番好きだ。

サッポロ一番のスープの素を入れる。

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スープの素を入れる

少しずつ、味を見ながら入れていく。

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麺も入れる

サッポロ一番のスープの素を入れると、さっきまでの薄味が嘘の様に、あっという間にラーメンの味になった。

化学調味料って凄い。

麺は3分で出来上がる。
ベース作りに3時間もかかったのに、サッポロ一番はたったの3分だ。

インスタントラーメンって凄い。

そしてついに、ケンタッキーの鶏がらをベースとした醤油ラーメンが完成した。

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ケンタッキーの鶏がら醤油ラーメン

おお、うまそうだ。スープがなくなったら店を閉じてしまう人気店のラーメンのようにも見える。

早速食べてみよう。

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スープを一口

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麺もすすって

うまい。 全体的にサッポロ一番の主張が強いのだが、その奥に鶏がらの濃厚さが残っている。

3時間かけた甲斐があった。

ありがとう、ケンタッキー。
ありがとう、サッポロ一番。

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大満足

本当においしいので、皆さんも是非お試し下さい。

ただし、サッポロ一番のスープを入れ過ぎないように。
入れ過ぎると、それはもうサッポロ一番になってしまいます。


(2008/11/3 住正徳)

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