仕事で北京に行ってきた。ある大学の教授に向けて弊社の仕事内容をプレゼンする、という割とぼんやりとした仕事内容で、スケジュールは2泊3日。しかも、夜中に北京に着く便だったので、北京滞在は正味1日半しかない。ほとんど大学内で過ごし、観光は出来ない予定である。それはあまりにも悲しいので、強引に観光の時間を作ってもらった。北京に来た証? みたいなものが欲しい。北京といえば今年の夏、日本中が大いに盛り上がった北京五輪だろう。そう、あのメイン会場に行って五輪の余韻を味わいたい。 というわけで、鳥の巣と呼ばれる国家体育場に行った。 |
【まだ五輪は終わってない】 大学でのプレゼンが終わり(20分くらいで終わった)、車で鳥の巣に連れて行ってもらった。大学から鳥の巣までは車で約15分、4車線くらいある環状線で東に向かう。車線変更をする度に、他の車にぶつかりそうになりクラクションを鳴らされ、かと思えば無理に割り込んで来る車が現れてクラクションを鳴らす。そんな事の繰り返しで、とにかく運転が荒いのだ。生きた心地がしない。「車の運転が荒い国はサッカーが強い」というのは僕の持論なのだが、その理論からい くと、中国もそのうちサッカー大国になると思う。 なるべく車の外を見ないようにして(見てると怖いから)15分、車は無事に鳥の巣に到着した。 鳥の巣 テレビで見たあのスタジアムが目の前にある。確かに鳥の巣っぽい。もしくは建築途中のようにも見える。いつになったら隙間が埋まるのか、そんな風に思っている人もいるに違いない。 五輪が終わって2ヶ月近く、きっと鳥の巣周辺は閑散としているだろうと思っていたのだが、現地に着いて驚いた。観光客でごった返しているのだ。もしかしたら五輪が終わった事を知らない人が集まってるんじゃないか、と思えるほど観光客で溢れている。 どういう事だ? 揃いの帽子を被ったグループが そこら中に 鳥の巣まで連れて来てくれた大学関係者に聞くと、地方からの団体ツアーらしい。みんな揃いの帽子を被っている。 北京五輪のメイン会場は会期後も立派な観光スポットになっているのだ。 観光スポットとなれば、当然、お土産を売る人たちがいる。 Tシャツを売る女性 鳥の巣グッズを売る女性 多分、オフィシャルじゃないと思われる売り子さんたちが五輪グッズを売っている。 ここでしか売ってない、みたいな事を言っているらしく、そのプレミア感にやられて気付くと鳥の巣の灰皿を買っていた。 鳥の巣灰皿 鳥の巣をモチーフにした黄金の灰皿、100元だ。日本円にして約1500円。現地の通貨感覚に慣れていないので、それが高いのか安いのか判断出来ない。 五輪と関係ないブランド物の時計を売っている人もいて、値段を聞くと60元。 五輪と関係ないブランド時計も売っていた 本来なら50万円以上する時計がたったの900円である。それはさすがに判断がついたので買わなかった。安過ぎる。 お土産の売り子さんを避けながら、鳥の巣の入口に向かう。 入場券を購入するとスタジアムの中に入れるのだ。 入場料 50元(約750円) 入場券を50元で購入し、金属探知ゲートをくぐりスタジアムの中へ。つい2ヶ月前まで、あんな感動やこんな感動があった、北京五輪のメインスタジアムである。感慨もひとしおだ。 金属探知ゲート 入るとすぐ、大きな画面に開会式の様子が流れていた スタジアムの中にも沢山の観光客がいた。観客席に座って記念撮影をする人、フィールドに降りて記念撮影をする人、至る所で記念撮影をしている。 五輪の余韻はまだまだ続いているのだ。 スタジアム内に観光客の熱気が立ち込めている。 ここから見てたのね。うん、そうじゃな。と会話を交わしてそうな夫婦 帽子も姿勢も揃ってる3人組 実際、五輪を見ていた人たちはどんなシートに座っていたのか? 空いてるシートに腰掛けてみた。 こういうシート 実際に北京五輪を生で見ていた人たちは、このシートからあんな事やこんな事を目撃していたのだ。シートから2ヶ月前の興奮が伝わってくるようである。 壊れているシートもあった 上の写真のように、まだ新しいスタジアムだというのに既に壊れているシートがあったりする。 会場周辺には鳥の巣をイメージした街灯がそこら中にあったのだが、それも壊れている物が多かった。 鳥の巣をイメージした街灯が 鳥の巣部分がなくなって灰皿みたいになってたり 倒れちゃってたり 五輪の会期中に壊れたのか、それとも終わってから壊れたのか。いずれにしても、まだ出来て半年程度しか経っていないというのにもったいない。五輪終了後も観光スポットになっているんだから直したらいいのに、と余計な心配をしながらフィールドに降りてみた。 トラックには入れない あんな人やこんな人が走ったトラックに入る事は出来ないのだが、中央のフィールド部分は公開されていた。 フィールドから頭上を見上げると、開会式で聖火の最終ランナーが走っていた壁が見えた。 聖火ランナーが走っていた壁 僕は高所恐怖症なのであのシーンは見ているだけでゾッとしたが、実際にフィールドからあの壁を見上げると想像よりは低く感じた。 グルッと壁を見渡すと、あの聖火台もちゃんとある。 壁を走っていた人が点火した聖火台 あそこに聖火が灯っていたのだ。 五輪が終わってしまった今、あそこに火が灯る事はないのだろうか? 何かの大会で今後も火をつける事があるかもしれないが、その時はまたあの壁を走る人が必要になってしまうのではないだろうか? だとしたら、とても不便な聖火台である。 と、今週はここまでです。次週は、フィールド内で行われていたイベントをレポートします。キーワードは、「何でそこにストッキングを?」。 お楽しみに。 (2008/10/20 住正徳) |