中途半端な時間に食べる富士そばが好きだ。お昼を食べ損なって16時半くらいに食べる富士そば。深夜まで作業した後、今食べると太るだろうなあと気にしながら食べる富士そば。もちろん普通の時間帯に食べても充分おいしいポテンシャルを持っているとは思うのだが、やっぱり中途半端な時間に食べる富士そばが僕は好きだ。こんな時間にこんなにおいしくてありがとう。いつも心の中で感謝しながら、富士そばをすすっている。 そしてもの凄くお腹が空いている時などは、トッピングを2品乗せたりしてちょっと贅沢な富士そばを楽しんだりする。かき揚げにコロッケ。これがおいしい。いなり寿司をつける人もいるが、僕は断然トッピング派だ。そしていつも思う。トッピングを全部乗せたらどんなだろう? いつかやってみたい。 |
【富士そば渋谷桜丘店にて】 いつかやってみたい。そのいつかが今日である。 富士そば渋谷桜丘店 全部のせを頼んだりすると店員さんがざわざわしてしまうかもしれないので、混み合う時間帯を避けて、11時にお店を訪れた。やっぱり中途半端な時間帯になってしまった。 富士そばは券売機で食券を買うシステムなのだが、食券が発行されるのは「わかめ」とか「コロッケ」とか、すでに何かがトッピングされているメニューばかりである。トッピングを1品1品券売機で買う事は出来ない。トッピングは口頭で店員さんにお願いしないといけないのだ。 とりあえず何も乗っていない「かけそば」を280円で購入した。 かけそば 280円 かけそばの食券を店員さんに渡して「トッピングを全部お願いします」と告げた。店員さんは「全部って、全部?」と聞き返してきたので「ええ、全部」と答える。2人とも「全部」しか言っていない。 全部って、全部? これを全部 店員さんはトッピングの棚を眺めながら、「わかめときつねはどうします?」と聞いてきた。わかめときつねはトッピングの棚には入っていないのだ。僕が欲しいのは「全部のせ」なので、もちろんわかめときつねもお願いした。 わかめときつね担当の人 わかめときつねは別の店員さんが担当のようで、かけそばの上にわかめときつねを乗せてくれている。 「わかめはノーマル?」 とわかめ担当の店員さんが注文を聞いてくれた店員さんに確認している。 「いや、トッピングで」 「え? どっち?」 軽くもめる2人。 わかめもトッピング扱いでお願いします。 なんだトッピングかぁ わかめ担当の人は主旨をようやく理解してくれたらしく「じゃあ、オマケしてキツネは2枚入れてあげる」と言ってくれた。普段だったらとてもうれしい。しかし、これから「全部のせ」を食べるのだ。そのオマケが大きなダメージになったりしないだろうか? 本当にいいんですね? 注文を聞いてくれた方の人がトッピングを別のお皿に盛ってやって来た。 「全部のせ」で乗ってくる具材は以下である。 ・わかめ ・きつね(2枚) ・天ぷら ・小柱天 ・コロッケ ・ちくわ天 ・いか天 ・春菊天 ・生卵 全9品で合計金額は880円。 かけそばの280円と合計すると、1160円である。支店によってトッピングの種類が違うかもしれないが、渋谷桜丘店の「全部のせ」は9品1160円だ。 全部のせ(セパレート状態) トッピングを2品ほど乗せてちょっと贅沢な富士そばを食べる時でも、天ぷらとコロッケが汁を吸ってしまい汁が足りなくなる。そこを考慮してくれたのだろう、店員さんはスープを1杯分、オマケにつけてくれた。更に、器も大盛り用の大きいものにしてくれている。「全部のせ」に対するこの気遣いがとても嬉しい。 スープ1杯をオマケしてくれた セパレート状態で受け取った「全部のせ」を本当の「全部のせ」にしてみた。 富士そばの全部のせ(渋谷桜丘店バージョン) そばが見えない。 …… どこから攻めたらいいのか、しばらく悩む。 とりあえず、器からはみ出てしまった天ぷら系を食べる事にした。 天ぷらから 手前の「天ぷら」にかじりつくが、カサカサしている。本来なら汁に浸って柔らかくなっているはずの「天ぷら」がカサカサしている。「天ぷら」の味の前に脂っ気しか伝わってこない。 下に隠れているスープにくぐらせてみようと思ったが、他のトッピングが邪魔をしてスープに辿り着かない。 あ、そうだ。 スープがあった オマケにつけてくれたスープがある。これに天ぷらを浸して食べればいいのだ。 ありがとう、店員さん。 普通の富士そばを食べている人 天ぷら、小柱天、ちくわ天を食べ切ったところで、ようやく麺とスープが見えて来た。 まだ折り返し地点にも来ていない。 ようやく麺と会えた スープも補充 正直、この時点でお腹はいっぱいであった。3品はたいらげているが、残るトッピングは6品。僕は大食いの特技を持っている訳ではない。3品も食べれば充分なのだ。 ここからは自分との戦いになってくる。 コロッケ いか天 お昼時を避けて来たので、そんなにお腹が空いていた訳でもない。その上食べるもの全てが脂っこい。 このままこのチャレンジを続けたら、富士そばの事をきらいになってしまうんじゃないか? いや、途中でやめたら食べ物を粗末にする事になる。 葛藤が続く。 つらい チャレンジを始めて15分以上が経過した。お店の様子を見ると、すでにお客さんは3回転くらいしている。富士そばは回転が速いのだ。 お客さんは3回転くらいしてる |
【がんばろう】 やっぱりやめる訳にはいかない。食べ物を粗末には出来ないのだ。 一旦休憩だ。 外の喫煙所で休憩 富士そばの外にある喫煙所で休憩を入れた。 一旦リセットして、残りの「全部のせ」に挑む。 ブルセラ 富士そばを食べる 富士タクシーの運転手さん ブルセラの看板や富士タクシーを眺めつつ、さっきまで食べた物が消化されるのを待ったが、そんなに早く回復するはずがない。間隔を空け過ぎると逆効果になりそうだったので戻る事にした。 オマケしてくれたきつね わかめ担当の店員さんがオマケしてくれたキツネ。やはり2枚は余計だった。しかし、店員さんのご好意を無下にする訳にはいかない。 そして僕は気付いた。 いつものように立って食べれば調子が出るはずだ。 スタンディング状態でラストスパートである。 立って食べたらいいんじゃないか 富士そばに来て30分近くが経過している。 お客さんは5回転目に突入している。 富士タクシーの運転手さんももういない。 なんとかここまで わかめとスープを食べ切る事は出来なかった。 それでもトッピングと麺は全て食べた。 ごちそうさまでした わかめ担当の店員さんから「全部食べたの?」と聞かれたので黙って頷いてみせた。店員さんは親指を突き出して良くやった、とはやってくれなかったが笑ってくれた。僕も笑い返すしか出来なかった。 |
富士そば「全部のせ」を頼んで分かった事は、 ・わかめをどうするかで店員さんが少しもめる。 ・トッピングは別皿で出してくれる。 ・スープを1杯オマケしてくれる。 ・きつねもオマケしてくれる。 ・合計金額は1160円。 ・4品目からは自分との戦い。 ・オマケは余計。 ・食べ終わった後、しばらく口の周りが脂っこい。 ・胃がもたれて辛い。 薬局で胃のもたれを相談 コレが良いと言われて買った胃薬 という訳で、富士そばの帰りに胃薬を買った。 僕は胃腸が弱いのだ。 (2008/9/22 住正徳) |