ヒトは直立歩行する動物である。直立歩行によって自由になった手で道具を使い文明を作ってきた。映画「2001年宇宙の旅」の冒頭において、ヒトの祖先が道具を使うようになる過程が丁寧に描かれている。動物の骨で獣を倒し、キャッキャッ喜んでいるサルの姿がとても印象的だった。 何が言いたいかというと、直立歩行のおかげで今の文明があるのは有り難いが、直立歩行はとても疲れるという事だ。肩こりや腰痛は全て直立歩行の反動だ、とマッサージの先生が言っていた。直立歩行をやめれば、肩こりも腰痛もなくなるらしい。確かにそうかもしれないが、腰痛が辛いからといって四つん這いで歩く訳にもいかない。じゃあ、どうしたらいいのか? 疲れたら座ればいいのだ。座れば随分楽になる。 ふと街を見渡してみると、色んな所に座ってる人たちがいる。みんな直立歩行に疲れているのだ。特に夜になると、街中で座ってる人たちが多く見受けられる。 朝からずっとがんばっているのだ。座りたくもなるだろう。あるいは酔っぱらっているだけかもしれない。いずれにしても、夜の街は座ってる人で溢れている。 |
例えばちょっとした段差も見逃さない人たち。 ちょっとでも段差があれば、それはもう椅子なのである。長時間座るには辛いかもしれないが、ひと休みくらいであれば充分だ。 もう少しちゃんとした段差が欲しい。 そんな人は階段を利用すればいいようだ。 何段目に座るかは人それぞれのようであるが、階段を利用する場合、他の人の迷惑になる可能性があるので注意が必要だ。 段差なんていらない。そんな強硬派も見受けられた。 座りたいと思った所に段差がない。そんな場合はその場に座っちゃえばいいのだ。 いや、やっぱり段差がないと落ち着かない。出来れば高めの段差が欲しい。 そんな人はガードレールを利用しているようだ。 バス停のガードレールを利用する場合、バスを待っているように思われるので気を付けないといけない。上の写真のカップルはこの後バスが停まってしまい、慌ててその場を離れていた。 同じバス停でも、終バスが出たあとのベンチを利用する賢い人もいた。 もしかしたらバスが来ると思って待っていたのかもしれない。 しかし、スタジオパーク行きのバスは18時で終了だ。すでに4時間以上が経過している。 ガードレールは細いので座りづらい。 そんな人は地下鉄の入口に目をつけていた。 逆に座りっぱなしの人もいて、それはそれで疲れるようであった。 例えば雑誌売り場のおばちゃん。 座ってるけど忙しそうな人。 僕のような腰痛持ちにとって座りっぱなしは良くない。同一姿勢を取り続けていると腰痛が悪化してしまうのだ。雑誌売り場のおばちゃんと路上ドラマーの人も気を付けた方がいい。 |
このように、街は座っている人たちだらけであった。ちょっとでも座れそうな場所があれば座ってしまう。それは直立歩行をする人間の本能なのかもしれない。 例えばこういう物でも、 銅像を見て、「あ、座れそう」と思う人は少ないかもしれない。 だが、この人はそう思って銅像の頭に腰を下ろしたのだ。 何を見て座りたいと思うか。 それは人それぞれなのである。 ちなみに僕は、この自転車のサドルを見て「座りたい!」と思った。 (2008/9/15 住正徳) |