スミマサノリ「月曜日にオジャマシマス」

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当サイトでもライターとして参加しているダーリンハニーのお二人から、「コントの原稿を書いてみませんか?」とオファーがあった。ダーリンハニーのコントは大好きなので二つ返事で引き受けて一気に書きました。もし、気に入ってもらえたらライブでやってくれるとのこと。僕の期待は高まる一方だったのですが……、

「以前のネタに良く似たものがあるので……」とやんわりNGのお返事が。
勉強不足でした。ごめんなさい。

ライブでやってもらう事は夢に終わりましたが、この場をお借りして原稿を公開させていただきます。


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長嶋… 代筆してもらう人 吉川… 路上でメールの代筆を請け負う男

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「必ず相手の心をつかみます? メール代筆屋?」
y50.jpg 「ええ、代筆屋です」
n50.jpg 「どんなメールでも?」
y50.jpg 「ええ、どんなメールでも」
n50.jpg 「例えばどんな?」
y50.jpg 「彼女とケンカして謝りたいとか、仕事で失敗したから上司に謝りたいとか、今までの人生について親に謝りたいとか」
n50.jpg 「謝るメールばっかりですね」
y50.jpg 「あ、そんな事ないです。もっと普通のメールも、ぜんぜんやります」
n50.jpg 「例えば、恋の告白とかも?」
y50.jpg 「ああ、もうそういうのが一番得意です。で、どの恋について謝りますか?」
n50.jpg 「だから謝らないって」
y50.jpg 「謝っといた方がいいと思いますけどね。あなたみたいなタイプは」
n50.jpg 「大きなお世話ですよ」

(長嶋、その場を離れようとする。それを引き止める吉川)


y50.jpg 「まあまあまあ、これでしょ? これ?」(親指を立てて)
n50.jpg 「違いますって、こっちですよこっち(小指を立てて)」
y50.jpg 「ああ、こっちね」(小指を少し曲げて)
n50.jpg 「もう何でもいいですわ。指の形は。で、恋の告白の代筆は? やれるの?やれないの?」
y50.jpg 「やりますやります。さあ、こっちに座って」

(向き合って座る二人)


y50.jpg 「さあ、どうしましょう。まずは二人の状況を聞きましょうか」
n50.jpg 「状況?」
y50.jpg 「そうです。出会ってどれくらい経つとか、そういうやつ」
n50.jpg 「出会ったのは昨日です。合コンでね、ちょっと」
y50.jpg 「ああ、合同コンパですね」
n50.jpg 「そんな丁寧な言い方しなくていいですけど、まあ、そうです」
y50.jpg 「そこに気に入った子がいた、と」
n50.jpg 「(ちょっと照れて)まあ、そんなところです」
y50.jpg 「で、メールアドレスの交換には成功した、と」
n50.jpg 「(誇らしげに)ええ、そうです」
y50.jpg 「(投げやりに)じゃあ、とっととメールすればいいじゃないですか。そんなもん」
n50.jpg 「だから、そのメールの代筆を頼もうと思ってるんでしょ、あなたに」
y50.jpg 「嫌ですよ。そんなん。だって僕なんかが代筆しなくたって、きっとうまくいきますもん」
n50.jpg 「いや、でも、最初のメールって大事じゃないですか、だから、そこをプロのあなたに頼みたいって」
y50.jpg 「そんな大事なメールを他人に任せるようじゃダメだ」
n50.jpg 「アンタ、自分の仕事全否定だな」
y50.jpg 「いや、そ、そりゃあ私はプロですから、確実に相手の心にリーチするメールを考えますけど」
n50.jpg 「ですよね、だから、是非」
y50.jpg 「何か、さっきからあなたがニヤニヤにしてるのが、癇に障るっていうか」
n50.jpg 「(ニヤニヤして)そんな事ないですよ。もう、夕べからずっと悩んでて」
y50.jpg 「いや、悩んでないもん。その顔」
n50.jpg 「そんな事ないですって、本当、お願いしますよ……」
y50.jpg 「うーん…」


n50.jpg 「あ、自信がないんでしょ、あなた。恋についてはとんと苦手な口だ」
y50.jpg 「(声を荒げて)な、何を言うか。俺はジグロだぞ」
n50.jpg 「ジゴロでしょ。顔真っちろだし」
y50.jpg 「そんな事言われたんじゃねぇ、こっちだって黙っちゃいられませんね。やりましょう」
n50.jpg 「よっ、代筆屋!」
y50.jpg 「(呼吸を整えながら)まずは、あなたの事を少し教えて下さい。生まれは?」
n50.jpg 「東京です」
y50.jpg 「なるほど、東京ですね」

(吉川、少し考え込んで)


y50.jpg 「よし、最初のフレーズが出来ました。携帯出して下さい」

(長嶋、携帯を出して吉川を凝視する)


y50.jpg 「じゃあ、これから僕が言う通りに打ってくださいね。まずは自己アピール事から」

(長嶋、無言で頷いて携帯を構える。真剣)


y50.jpg 「夕べはどうもありがとう。とても楽しかったです」
n50.jpg 「夕べはどうもありがとう。とても…」
y50.jpg 「バイ・ザ・ウェイ、僕は東京生まれなんだけれども」
n50.jpg 「ちょっと待った」
y50.jpg 「何よ?」
n50.jpg 「挨拶終わりにいきなりバイ・ザ・ウェイはおかしいでしょ」
y50.jpg 「全然おかしくないって。そのくらい意表をついた方がいいんですって」
n50.jpg 「そ、そうかな…」
y50.jpg 「続けますよ。ほら、携帯」
n50.jpg 「は、はい」
y50.jpg 「東京生まれなんだけれども、までは打ったね、じゃあ、その続き。東京生まれ、ヒップホップ育ちなんだけれども」
n50.jpg 「はい、Dragon Ash。それ、Dragon Ash」
y50.jpg 「何言ってんの、違うって」
n50.jpg 「だって、その後も分かるもん」

(2人で)「悪そうな奴は大体友達」


y50.jpg 「おっ、あなた、代筆屋のセンスあるよ」
n50.jpg 「センスっていうか、Dragon Ashだからね。あなたの」
y50.jpg 「(長嶋にはかまわずに)ほらほら、あなた、私の代わりにここに座って、さあ」

(強引に座らされてベレー帽を頭に乗せられる長嶋)


y50.jpg 「じゃあ、そういう事であとはよろしく」
n50.jpg 「……」



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