納豆が好きだ。でも、あの糸は嫌いだ。口元から納豆の糸がピローンとなっている姿はどうにもマヌケだ。「彼女の口元から納豆の糸が引いてたから」という理由で別れたカップルを僕は知っている。いや、そんな知り合いはいない。でも、納豆の糸にはそれくらい人をマヌケにする力がある。 そこで思った。色々な種類がある納豆の中で、どの納豆が一番糸を引くのだろうか? 気になったので調べてみる事にした。納豆の糸の長さ選手権、略してN1グランプリである。 |
【6種類の納豆がエントリー】 N1グランプリの開催にあたり、日本各地から6種類の納豆が集まった。集まった、というか僕が渋谷のフードショーで買って来たのだ。 大粒、小粒、ひきわりなど、いずれもおいしそうな納豆たちである。 |
【大粒】 | |
北海道大粒(全国農業協同組合連合会長賞受賞) | 平家納豆(栃木県産大豆100%使用) |
【小粒】 | |
水戸天狗納豆(創業明治22年) | 広田さん大豆納豆(北海道士別市の広田さんが育てた「すず姫」種の大豆を原料としている) |
国産小粒納豆(国産大豆100%使用) |
【ひきわり】 | |
ひきわり納豆(お料理に、手巻き寿司に) |
以上、6つの納豆の糸の長さを比較していく。 糸の長さを比較する場所は、僕の事務所が入っているマンションの廊下である。室内なので風の影響を受けない。ベストなコンディションで糸の長さを競う事が出来る。直線距離は約30メートル。もし、それ以上長くなった場合は階段を使って上の階を目指す。 この廊下で計測する また、平等な条件のもとで計測する為に、以下のルールを設定した。 ・かき混ぜる回数は100回。 ・同封されているタレとからしはいれる。 アントニオ猪木の著書「闘魂レシピ」では「納豆のこね方」という項目で見開き2ページを使っている。その中で猪木は、 「まず納豆だけで100回以上こねて、ねばりを出そう」 と言っている。納豆のねばりを出す為には、最低100回まぜる必要があるのだ。なので、今回も100回かき混ぜる事にした。 |
【N1グランプリ、スタート】 ルール説明はこれくらいにして、早速糸の長さを測っていこう。 まず最初のエントリーは「北海道大粒」だ。 第一走者、北海道大粒 タレとからしを入れて100回かき混ぜる スプーンで納豆をすくい 糸を伸ばしていく 普段はあんなに邪魔な納豆の糸であるが、こうやって測ろうとするとかなり弱い事が分かった。すぐに切れてしまう。 予想よりかなり短い距離ではあるが、とりあえず計測してみよう。 計測 「北海道大粒」の記録は9.2センチであった。 30メートルの直線は必要だったのか、第一走者の段階で不安がよぎる。 「北海道大粒」の記録:9.2センチメートル 続いて第二走者は「平家納豆」である。「北海道大粒」同様に大粒の納豆だ。 第二走者、平家納豆 糸引きスタート あ、また切れた 「平家納豆」もすぐに切れてしまった。北海道大粒よりも短い。その結果7.8センチ。大粒納豆は糸が弱いのかもしれない。第三走者以降の巻き返しに期待しよう。 「平家納豆」の記録:7.8センチメートル 第三走者は小粒納豆の「天狗納豆」である。パッケージに描かれた天狗の鼻が力強い。糸のねばりもかなりのものがあるに違いない。 第三走者、天狗納豆 お、いい調子 20センチ越えなるか? 大粒納豆に比べると糸の強度が強い。記録もグンと伸びて20.6センチ。一気に20センチ越えを成し遂げた。 「天狗納豆」の記録:20.6センチメートル 続いては「広田さん大豆納豆」の登場だ。広田さんのフルネームは広田則史さん。「約50ヘクタールの広い畑を、家族と数人のお手伝いさんで耕し、大豆やお米を生産しながら養豚も営む元気なお父さん」である(パッケージより)。 第四走者、広田さんの納豆 強そうな糸 広田さんも20センチ越えなるか? が、20センチ手前で失速 残念ながら20センチのK点越えはならなかった。その記録19.5センチ。「天狗納豆」に次いで、ここまでの順位は2位である。 「広田さんの大豆納豆」の記録:19.5センチメートル 残るエントリーは2つ。「国産小粒納豆」と「ひきわり納豆」だ。両者とも国産大豆100%使用を謳っている。つまり、国産大豆100%の意地をかけた対決である。 国産大豆100%対決の先攻は「国産小粒納豆」。遺伝子組み換え大豆は使用していません。 第五走者、国産小粒納豆 糸引きスタート 慎重に伸ばしていく こちらも20センチ手前で失速 「国産小粒納豆」も20センチ手前で一気に失速していった。20センチラインには魔物が棲んでいるのかもしれない。 「国産小粒納豆」の記録:16センチメートル そして、いよいよ最後の走者「ひきわり納豆」の登場である。ひきわった事により、納豆の糸は強度を増すのか? 第六走者、ひきわり納豆 糸が弱い 失速! ひきわった事で糸が強くなる事はないようだ。10センチ手前で大失速である。 「ひきわり納豆」の記録:9.5センチメートル 以上ですべての納豆の計測は終了である。 結果、以下のような順位となった。 1位:「天狗納豆」20.6センチメートル 2位:「広田さんの大豆納豆」19.5センチメートル 3位:「国産小粒納豆」16センチメートル 4位:「ひきわり納豆」9.5センチメートル 5位:「北海道大粒」9.2センチメートル 6位:「平家納豆」7.8センチメートル 創業明治22年、水戸の天狗納豆が堂々の1位に輝いた。20センチ一歩手前で切れてしまった広田さんは2位。約1センチの差で破れてしまった。 次回はがんばります 今回の結果はあくまでも糸の長さであって、そのおいしさとは一切関係ない。どの納豆もとてもおいしかったです。 そして、わざわざマンションの廊下で計測する必要がなかった事も最後に付け加えておこう。 机の上で充分だった。 ※使用した納豆はスタッフですべて食べました (2008/6/30 住正徳) |