僕が子供の頃、ルービックキューブという立体パズルが流行った。6面体の色を揃えるアレだ。当時小学生だった僕も、ブームに乗ってルービックキューブに挑戦していた。結構がんばったと思うのだが、結局、2面までしか揃える事が出来なかった。あんなもの出来るはずがない。 で、今回は、そのルービックキューブを自分用にvしようと思う。6面それぞれに自分の思い出を貼り付けていくのだ。題して「思い出キューブ」である。 |
【今、改めてルービックキューブ】 ルービックキューブ 銀座の博品館でルービックキューブを購入した。パッケージの裏側にはルービックキューブを発明したエルノ・ルービックさんの写真が載っている。1944年生まれ、ブタペストの美術工芸アカデミーの教授、らしい。ルービックキューブを発明したのが1978年。今から30年近くも前のことだ。 「何も見ずに自力で解くとIQ130!!」 ともパッケージに書かれている。僕は2面までしか出来なかったので、IQは3分の1の40ちょっとという事だろうか。ちょっと悔しい。悔しいので、このルービックキューブを自分色に染めてしまおうと思う。 |
【思い出の写真を6枚セレクトする】 ルービックキューブを「思い出キューブ」化するために、思い出の写真を6枚選ぶ事にした。生まれてから今に至るまで、自分の半生を物語る6枚である。 まず最初の1枚は、生まれた頃の写真だ。 生まれた頃 僕が生まれたのは昭和45年1月。父・義信、母・美代子の間に、住家の長男としてこの世に生を受けた。当時、両親は横浜の社宅に住んでいて、この写真はその社宅で撮られたものと思われる。母曰く、僕の顔はこの頃と全く変わっていないらしい。本当にそうだろうか? こんな顔の大人がいたら気持ち悪いと思う。 そして2枚目は幼稚園の頃の写真だ。 幼稚園の頃 アルバムには、「大岡幼稚園、おゆうぎ会」と父の几帳面な字で書かれていた。このおゆうぎ会で何を踊ったのか、アルバムに記載がなかったので分からない。幼稚園時代の記憶など、ほとんどないのだ。唯一覚えている事といえば、先生に対する恋心である。顔も名前も忘れてしまったが、とにかく幼稚園の先生に恋心を抱いた事は覚えている。淡い初恋である。もちろん、その恋は成就しなかった。 さらに成長して3枚目、小学校入学の頃である。 小学校入学の頃 僕が小学校に上がるタイミングで、家族は横浜から川崎に引っ越した。引越してすぐ、入学式があったようだ。これはその時の一枚である。まだ若い母のポーズが何となくアンニュイなのが気にかかる。悩み事でもあったのだろうか。そして、今の僕はこの頃の母よりも年上であるが、このようなアンニュイな雰囲気は出せない。昔の人って早熟だったよね、と改めて思わされる1枚である。 |
と、6面のうち3面まで来た訳であるが、半分使ってまだ小学校入学までしか来ていない。小学校入学までが6年で、それから今に至るまでが31年。ペース配分を間違えてしまった。ここからは10年単位で思い出の1枚を選ばないといけない。しかし、僕の手元にその後の写真がないのだ。小学校入学までの写真は、「正徳の思い出」と題されたアルバム4冊分にキチンと整理されて僕の家にあるのだが、それ以降の写真はアルバム化されていない。バラバラの状態で実家のどこかに埋まっているのだ。締め切りの都合上、実家に帰って写真を漁る時間はない。 何とかしよう。 中学生の頃 手持ちの写真がなかったので、大体こんな雰囲気だった、という写真を素材集からピックアップした。中学時代から急に天然パーマになった事もあり、概ねこういう感じの中学生だったと思う。人種が変わってしまった事は大目に見ていただきたい。 続いて高校時代である。 高校生の頃 僕は男子校だったのでこんな素敵な女性と一緒に勉強した覚えはないが、こうだったら良かったのに、という願望を込めてみた。 「あなたの微分・積分はどんな感じ?」 などと言われたかったのだ。 で、高校時代までに5枚も使ってしまった。 残りはあと1枚である。 大学卒業の頃 お世話になったゼミの教授と、というイメージである。本当は大学の卒業式に出席していない。僕は大学4年生を2回やっていて、2回目の4年生時代は学校に知り合いが1人もいなかったのだ。知り合いがいないのに卒業式に出れるはずがない。学校の事務局で卒業証書だけもらって帰った覚えがある。 以上で思い出の6枚が出揃った。結局、大学卒業までしかフォロー出来なかったが、今回の思い出キューブは「学生時代編」とする事にした。次の機会があれば「社会人編」を作る事にしよう。 早速、この6枚をルービックキューブに貼っていく。 |
シールを作る 写真をコンピューターに取り込み、ルービックキューブサイズに解像度を変更する。ルービックキューブの一辺は55ミリ、中の小さなキューブは15ミリの正方形である。1枚の写真を15ミリ四方に9分割して切り取り線をつける。 全部の写真に切り取り線を付けたらシールにプリント。あとは切り取り線に沿ってシールを切り落とし、ルービックキューブに貼るだけだ。 シールを貼っていく 写真のセレクションに時間を取られたものの、そこからの作業は順調に運んだ。6面全てに僕の思い出を貼り終われば、「思い出キューブ」の完成である。 思い出キューブ この6面は僕の思い出で埋め尽くされている。まさに、思い出キューブ。 1面ずつ、見ていこう。 誕生面 幼稚園時代面 小学校入学面 中学時代面 ハイスクール面 卒業面 小さな正方形と正方形の間に隙間がある事を計算に入れ忘れてしまった。その為、顔の形がおかしくなっていたりするが、それも含めて「思い出」という括弧の中に入れる事にした。 思い出シャッフル! 6面揃っている状態から、キューブを回して思い出をシャッフルする。 シャッフル後 シャッフルした事で1面の中に色々な思い出が現れた。 左上から時計回りに思い出を解説しよう。 1.アンニュイな母(小学校入学面) 2.ジェニファーと一緒に勉強する僕(ハイスクール面) 3.僕の右手(誕生面) 4.卒業を喜ぶ僕(卒業面) 5.地面を指差す母の人差し指と僕の手(入学面) 6.校舎の壁(入学面) 7.クラスメートの頭(中学時代面) 8.卒業を祝うヤコブソン教授(卒業面) 9.ヤコブソン教授と僕の肩(卒業面) と、色々な思い出が現れたのはいいが、この状態から6面を揃えるにはIQ130が必要だ。僕は2面までしか揃える事が出来ないので、どなたかルービックキューブが得意な人がいたら、僕の思い出を揃えて下さい。 |
6面作ってみて気付いたのだが、1枚の写真を9分割するのではなく、1面に9枚の写真を貼っていけば良かったのかもしれない。そうすれば全部で54枚の思い出を貼る事が出来るし、顔の形がおかしくなる事もなかったのだ。社会人編はそうしよう。 (2007/12/17 住正徳) |