この季節、風邪が流行って大変だ。僕もすっかり風邪を引いてしまった。1ヶ月くらい前に引いたばかりだというのに虚弱体質にも程がある。風邪を引くと鼻水が垂れて困る訳で、そんな時、役に立つのがポケットティッシュだ。 ポケットの中に収まるサイズだからポケットティッシュ。この季節はなるべくポケットに忍ばせておくようにしている。だが、肝心な時に限ってポケットを探ってもティッシュがなかったりする。鼻水が垂れているのにティッシュがない。とても辛い状況である。大人なので上着の袖で鼻水を拭く訳にもいかず、かといって鼻水を垂らしたまま過ごす訳にもいかず。 今後一切、そんな状況に陥らないように、ポケットをティッシュ専用に改造することにした。本当の「ポケットティッシュ」である。

【ポケットを改造する】 ティッシュ専用のポケットなので、ティッシュ以外の物が入らないようにしないといけない。邪魔な口は塞いでしまって、ティッシュの取り出し口だけを作るのだ。 1000円のスーツ 以前、洋服の青山でスーツを作った時、「2着目は1000円です」と言われて作ったスーツを使う。1000円なので心置きなく改造出来る。と思ったのだが、1着目は1万円以上した訳で、この2着目はどうして1000円なのだろうか。今更ながら疑念が沸いて来た。2着合わせて1万1000円で、1着あたり5500円という事だろうか。だとすると、ちょっともったいない気がしてきた。5500円のスーツをティッシュの為に改造していいものだろうか？ いや、深く考えるのはやめよう。これは1000円のスーツだ。そう自分に言い聞かせて、まずは胸ポケットにティッシュ取出し口の切れ目を入れた。 ティッシュ取出し口のアタリをつけて ザクッと切り込みを入れる 切り込みを入れたら、あとはポケットの口を塞いでいく。ミシンで縫い付けてしまうのだ。 ミシンで縫い付ける 縫い付けが完了したら、ティッシュの取出し口からポケットティッシュを挿入する。 ポケットティッシュ スーツの胸ポケットは予想以上に深かったので、ポケットティッシュサイズに四角く囲っている。 そして、これが本当のポケットティッシュである。ドラえもんの4次元ポケットからは色々なものが出て来るが、このポケットからはティッシュしか出て来ない。 下のポケットも 胸ポケットだけでなく、上着の下についてる左右のポケットもポケットティッシュに改造した。 各ポケットには2枚組みのティッシュが10セットずつ入っている。つまり、この上着があれば30回も鼻をかむ事が出来るのだ。 着るとこんな感じ ビジネスシーンを意識してノートパソコンを抱えてみた。ポケットの裏地が出ちゃってる人、のように見えなくもないが、鼻水を垂らしているよりはましである。 ちょっとしたパーティにも また、ポケットチーフのようにも見えるので急なパーティにも出席出来る。まさに実用性のあるお洒落と言えよう。

【ポケットティッシュの使い心地は？】 喫茶店にて ビジネスの合間、喫茶店でちょっと一息。しかし、ビジネスは時を選ばない。ノートパソコンを開くと緊急のメールが入っていた。コーヒーを飲む暇もなく、急いでビジネスの返事を書く。 と、その時！ 鼻水が垂れてきた。ビジネスと同様に、鼻水も時と場所を選ばない。 ササッ シュバッ！ チーン ポケットティッシュのお陰で鼻水の危機を乗り切る事が出来た。そして、ビジネスの返事もバッチリだ。 もし、ここでティッシュを探してオロオロしていたら…。きっと、ビジネスも鼻水もうまくいかなかっただろう。危ないところであった。 コーヒーをすする ビジネスの返事に対する返事を待つ間、しばしのコーヒータイムである。 と、その時！ コーヒーの湯気でメガネが曇ってしまった。 ササッ シュバッ！ キュッキュ 右下のポケットティッシュのお陰でメガネの危機を乗り切った。もし、ポケットティッシュがなかったら……。曇ったレンズ越しではビジネスの返事の返事に返事をする事は出来ない。 ティラミスを食べる 小腹が空いていたのでケーキセットを頼んでいた。本当はショートケーキが食べたかったのだが、売り切れであった。仕方なく第二候補のティラミスで妥協した。 と、その時！ ティラミスの粉が口の周りにこびり着いてしまった。 ササッ ジュワッチ ふきふき ティラミスは好きなのだが、これが嫌なのだ。口の周りから口の中に至るまで、粉だらけになってしまう。ポケットティッシュ無しで完食する事は不可能であろう。 その後も、 チーン チーン 鼻水は止まらない。メガネも曇るしティラミスの粉も着きまくる。 あっという間に、 ティッシュが切れた！ 調子に乗ってティッシュを使い過ぎてしまった。3カ所のポケットティッシュが底をついた。まずい。まだ、ビジネスの返事の返事に返事をしてから返事が戻って来ていない。ティラミスも残っている。 どうする？ ガバッ！ ジャーン こんな事もあろうかと、Yシャツの胸ポケットも改造しておいたのだ。 Yシャツにもポケットティッシュ 非常事態に備えて予備を用意する。ビジネスの基本である。 ササッ ふきふき ティッシュで冷や汗を拭う。Yシャツにもポケットティッシュを仕込んでおいて、本当に良かった。 しかし、Yシャツにあるポケットは胸ポケット1つだけ。予備は10枚しかないのだ。ここからは、慎重にティッシュを使っていかなければならない。 なのにティラミスの粉が しかし、ティッシュの需要はとどまる事を知らない。キーボードの上にティラミスの粉が落ちているではないか。粉がキーボードの隙間に入ってしまったら大変だ。キーボードが壊れてしまう。以前、このノートパソコンにコーヒーをこぼしてしまい、それ以来十字キーが効かないのだ。これ以上効かないキーを増やす訳にはいかない。 ギュイイイイイン ふきふき 思わぬ伏兵、ティラミスの粉によって、僕の想定を遥かに越えるティッシュの量を消費してしまった。 このままではYシャツのポケットティッシュがなくなるのも時間の問題だ。 どうする？ ガパッ シャキーン！ ザザッ ブロロロロロ キラリンッ ちーん

以上、都合6カ所にポケットティッシュを仕込んだお陰で、あらゆる危機を乗り切る事が出来た。ただ一つだけ欠点を挙げるとしたら、ティッシュ以外のものが入らないという点である。財布、携帯、定期入れ、ハンカチ。ビジネスに必要なものを色々と取りこぼす可能性があるので気をつけていきたい。 （2007/12/10　住正徳）

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