タバコ1本の長さは85mmから100mmが一般的だ。何故、その長さなのか? 「この長さや太さに明確な理由はありませんが、たばこを作る側と愛煙家側、両者の経験の積み重ねにより、現状のサイズとなっています。」という事らしい。 JTのサイトに書いてあった。試行錯誤を繰り返した末、100mm程度が吸いやすいという結果に落ち着いたのだろう。そんな100mmのタバコを1本吸い 終えるには、大体3分程度かかる。「ちょっと一服」で、約3分間ほど休憩出来る計算だ。という事は、例えば1本で10本分の長さのあるタバコを作れば、 「ちょっと一服」で30分間も休める訳だ。20本なら60分、30本なら90分である。1本吸い終えるのに90分間かかるタバコ。作ってみる事にした。 |
【タバコを繋ぎ合わせていく】
フィルターを切り落とす まずはフィルターを切り落とす作業から始めた。フィルターが付いたまま繋ぎ合わせてしまうと、長くなった時に煙を吸い込めなくなると考えたからだ。 ハサミでフィルター部分を切り落としていく。 フィルター無しのタバコ この長いタバコ作りには、僕がいつも吸っているKOOLというタバコを使う。KOOLは1本85mmのタバコであるが、フィルターを落とすと1本55mm程度になる。55mmの中には「刻み」と呼ばれるタバコの葉が詰まっていて、それを巻いている紙を「巻紙(まきし)」という。 手巻きタバコ用の紙 この紙で連結部分を繋ぐ フィルターの無い状態のタバコを連結させるために、手巻きタバコ用の紙を用意した。リズラペーパーというらしい。通な愛煙家は 葉っぱだけで売っているタバコを買ってきて、このリズラペーパーで巻いて一服するのだ。僕のように横着な人間にはとても考えられない習慣であるが、手巻き タバコにすると面倒臭いから本数が減る、という話を聞いた事がある。しかし、次第に手巻きに慣れていくから結局それまでの本数に追いついてしまう、という 話も聞いた事がある。本数を減らすには我慢しかないという教訓だ。 針金で補強して 連結 リズラペーパーだけでは強度が心配なので、連結部分に針金を挿して補強する事にした。何せ30本分を繋げるのだ。その重みから途中でポキンッといってしまいそうだ。 連結後にリズラペーパーを巻く 針金で連結した後、巻紙の上からリズラペーパーを巻いていく。この時、少しの隙間もないようにキッチリと巻かないといけない。途中で空気が漏れてしまうと煙を吸い込む事が出来ないからだ。 フィルターだらけ リズラペーパーの扱いに慣れていないので、予想以上に時間がかかってしまったが、いくつかのバリエーションで長いタバコを作った。5本分、10本分、20本分、30本分。それぞれを1本分にまとめた4本の長いタバコである。全部で65本のタバコを使った。 そして、それぞれの長さを測ってみると、そこには衝撃的な事実が隠されていた! 4種類の長いタバコ 5本分のタバコは30.5センチ、10本分で58.5センチ、20本分は113センチだったのだが、30本分のタバコが僕の身長 と全く同じだったのだ。ピッタリ167センチ。何という運命のいたずらだろう。KOOLを30本分繋げると僕の身長になる。僕以外の人には全く役立たない トリビアであるが、今後、飲み会の席などで自慢していきたい。 そんな167センチを含む4種類の長いタバコを試していく。 |
【5本分、30.5センチのタバコ】
まずは5本分を1本に繋げた、30.5センチのタバコからである。 5本分のタバコ 若干しなりはするが、その強度には問題ない。 口にくわえて火をつけてみた。 吸えた 通常のタバコより吸い込める煙の量は少ない。だが、充分に吸える。途中で煙も漏れていない。このタバコであれば、「ちょっと一服」が15分間に延長されるのだ。 続いて10本分のタバコを試してみよう。 |
【10本分、58.5センチのタバコ】
10本分のタバコ 5本分のタバコに比べると強度に難アリである。ちょうど真ん中くらいから垂れ下がってしまうのだ。タバコの先が遠いので、火をつけるにもギリギリな感じだ。 手で抑えながら しかし、手を添えれば煙を吸い込む事が出来る。5本分よりも吸い込める煙の量は減るが、まだ吸える。これで、「ちょっと一服」が30分になった。 残るはあと2本。20本分を繋げた113センチのタバコと、僕の身長分のタバコである。 それらを吸うには広いスペースが必要なので、駅前の喫煙所に移動する事にした。 果たしてうまく吸えるのだろうか? 長いタバコを持って移動 |
【駅前の喫煙所でトライ】
喫煙所 事務所から喫煙所まで移動する間、すれ違う人たちから何度も指を差されてしまった。「何、あれ?」「タバコじゃない?」「嘘、なんで?」「知らなーい」「バカじゃない!」。そんな声が聞こえたような気がする。とても辛い。 移動の時点で軽く凹んでしまったので、なるべく人のいない所で試したいのだが、喫煙所には愛煙家たちが溜まっている。途切れることなく愛煙家たちがやって来る。人がいなくなるタイミングを待っていたら真っ暗になってしまう。どうしよう? ええい、やっちゃえ。 さあ、20本分 20本分ともなると、さすがにその重みで途中から折れてしまいそうである。長い定規で支える事にした。そして、タバコの先まで手が届かないので撮影スタッフに火をつけてもらった。 さあ、吸えるか? 清掃のおじさんが来ちゃった 全然吸えない。 ちっとも煙がこっちまで来てくれないのだ。その代わり、清掃のおじさんがやって来た。「どうしたの、それ?」と聞かれたので、「長いタバ コを作ってみました」と答えた。おじさんは腑に落ちない顔でずっとこっちを見ていたので、「あ、吸い殻は自分で持って帰りますから」と付け足した。おじさ んの仕事は増やしません、という僕の気遣いが通じ、おじさんもようやく納得して帰っていった。 おじさんの問題は解決したが、20本分のタバコを吸う事に成功はしていない。ここまで長いと相当な肺活量が必要なのかもしれない。僕の肺活量では無理なのだ。 20本分が無理だったので、30本分なんて成功するはずがない。20段の跳び箱を跳べない人は30段だって飛べないのだ。挑戦すらしない だろう。しかし、僕はあきらめない。20段とは相性が悪かっただけで、30段だったら飛べるかもしれない。そういう風に物事を考えて今までやって来たの だ。 30本分、167センチのタバコに火をつける。 167センチのタバコにトライ 167センチともなると定規で支えてもヘナヘナしてしまう。下手をしたら折れてしまいそうである。慎重にタバコを構え、再びスタッフに火をつけてもらった。 火がついた 先端に火がついてタバコが燃え始めた。思いっきり息を吸ってみるが、やはり煙はやって来ない。 …… 何度吸っても結果は同じであった。 1本吸い終わるのに90分間かかるタバコは失敗に終わった。 折れたし |
失敗を悔やんで普通の一服 「この長さや太さに明確な理由はありませんが、たばこを作る側と愛煙家側、両者の経験の積み重ねにより、現状のサイズとなっています。」 JTのサイトに書いてある通りであった。 85mmから100mm。タバコはこのサイズが調度いい。 (2007/11/26 住正徳) |