アクションヒーロー物には欠かせない存在である怪人。僕が子供の頃、昭和50年代頃は様々なヒーロー物が放送されていて、そこに出て来る怪人たちはとても個性的であった。「悪い人」と分かっていても、心のどこかで怪人を応援している自分がいた。もちろんヒーロー側も好きなのだが、「一緒に遊ぶなら怪人かな」と幼心に感じていた記憶がある。結婚するならヒーローで恋愛するなら怪人、という事なのかもしれない。いずれにしても、僕は怪人に対する思い入れが強い。収集しているフィギュアも怪人ものがほとんどである。 今回はそんな怪人たちの中から、特にグッとくる存在をピックアップしていく。 |
【キーワードは等身大】 なぜ怪人たちに惹かれるのか。それは彼らが等身大だからだと思う。ほとんどの怪人は巨大化しない。ヒーローも怪人も等身大。その辺りに親近感を覚えるのだ。巨大化するヒーロー、ウルトラシリーズの中でも僕はウルトラセブンが好きなのだが、ウルトラセブンには等身大の宇宙人が多く登場する。セブンも等身大のまま戦ったりするのだ。例えばメトロン星人などは、4畳半のアパートで暮らしていたりする。モロボシダンとメトロン星人がちゃぶ台を挟んで会談するシーンはあまりも有名だ。 「ここへかけたまえ」とメトロン星人 今 回ピックアップする怪人たちもすべて等身大である。それぞれ、得意技を持っていたりするが、背丈はヒーローとそんなに変わらない。本気でヒーローをやっつ ける気持ちがあったら、巨大化する事を考えれば良かったのだ。K1だって、今強いのはセームシュルトとかチェ・ホンマンとか大きい人たちである。しかし、 怪人たちはあくまでも等身大を貫いた。いい所までヒーローを追いつめるけど、最後はやられなければいけない。その役回りを理解していたのだ。どこか切な い。 例えばこの人、
ウデゲルゲ。 「超人バロム1」に登場する怪人である。顔が手だからウデゲルゲ。必殺技は伸びる中指だが、最終的にその指が自分の体にからまってやられてしまう。自分の能力を過信した挙げ句の敗北だ。切な過ぎる。 バロム1の敵はドルゲという組織なので怪人たちの名前には「ルゲ」がつく。ウデゲルゲの他にも、
食欲の化身、クチビルゲ。 口からヘドロを吐くのだ。汚い。絶食してバロム1との戦いに備えるあたり、戦いの前は山にこもるヒクソン・グレイシーの様にストイックであるが、もちろん負ける。 さらに、
地震を起すことが出来る怪人モグラルゲ。 バロム1を得意の地中に誘い込むが、最終的にサングラスをはずされてやられてしまう。モグラは直射日光が苦手なのだ。 この他にも、ドルゲの化身には、アリゲルゲ、イカゲルゲ、ナマコルゲなど名前からモチーフの察しがつくものが並ぶ。名前が分かりやすいこと。これも怪人の条件といえよう。仮面ライダーの怪人も、「蜘蛛男」「さそり男」「かまきり男」など分かりやすい。 そんな分かりやすい名前の怪人として、
ワルダー。 「キカイダー01」に登場する怪人だ。自ら「悪だ」と名乗っているのだ。悪い人に決まってる。犯罪組織シャドウに雇われた殺し屋という設定で、キカイダー01と戦う訳だが、ワルダーはただの悪ではない。善悪の判断が出来ない事に悩む、という一面も持ち合わせている。
その筋の人が連れて歩く様な犬と一緒にいるワルダー。街で出会ったら目を合わせないように気をつけたい。ちなみに、ワルダーの妹の名前はビジンダー。美人の自立思考型ロボットである。 キカイダー、ビジンダー、ワルダーなど、分かりやすいネーミングが目立つキカイダーシリーズであるが、中には「そのまんま」という怪人もいる。 ブラジャーが欲しいです ビックゴリラとミニゴリラ。 その名の通り大きいゴリラと小さいゴリラである。怪人なんだからもう少しそれっぽい名前をつけてあげればいいのに。老婆心ながらそう思えてならない。 こ のゴリラが登場する回のタイトルは「非情、子連れゴリラの涙・涙」。親子だったのだ。もちろんキカイダーにやられてしまうので、その悲しさは計り知れな い。このゴリラの他にも、子連れ怪物ハリモグラという怪人が登場する話もあって、キカイダーシリーズは悲哀に満ちているのだ。 |
【楽しい怪人たち】 湿っぽい話になってしまったので、ここら辺で楽しい怪人たちに目を向けよう。
コシカケマン。 「ロ ボット刑事」に登場する犯罪ロボットである。椅子に変身して座った人たちを感電死させるという恐ろしい怪人だが、基本的には待ちの姿勢である。まずは座っ てくれないと話が始まらない訳で、もしコレに座って感電死したとしても「自己責任」として処理されてしまうだろう。僕は絶対に座らない。 ロボット刑事には他にもユニークな犯罪ロボットが登場する。 趣味は砂鉄集めです ジリキマン。 体が磁石で、鉄材を吸い付けては投げつけるという攻撃を繰り出す。
ミサイルマン。 小型戦車に座って移動している。戦う時は立ち上がって胸からミサイルを発射したり、両手でロボット刑事をグイグイ締めつける。握力が強いのだ。 |
【ヒーローだけど】 続いてはヒーロー側からのエントリーである。
カゲスター。 どことなく「悪」の雰囲気が漂うのは頭部の模様のせいだろうか。ベルトの模様もグルグルしている。 このグルグル、「超人バロム1」においては、
下等魔人アントマンの模様として登場している(写真中央はバロム1)。 アントマンは、仮面ライダーでいうショッカー戦闘員と同じ役割で、出て来るとすぐにやられるタイプの怪人だ。つまり、カゲスターが「超人バロム1」に出たとしたら、アントマンの親玉的な役割を与えられても不思議ではないのだ。 そんなカゲスターに登場する怪人は、こういう感じだ。
ゴリオリバー。 怪力が特徴で、こん棒を振り回して暴れる。ゴリオリバーが登場する回は、「ゴリラ怪人大あばれ作戦」というタイトルだ。とにかく大あばれする、という作戦である。もちろん、その作戦は失敗に終わる。 |
【秘密戦隊ゴレンジャー】 戦隊物の元祖、ゴレンジャーにもユニークな怪人が多く登場する。ほとんどの怪人がなんとか仮面という名前で、例えばこれ。
その名も野球仮面。 頭部のピッチングマシーンからボール爆弾を飛ばす。「赤いホームラン王!必殺の背番号1」というタイトルから分かるように、当時の人気者、読売巨人軍の王選手へのオマージュであることは間違いない。 続いては、
蛇口仮面。 頭部の蛇口をひねると毒ガスが出る。武器である毒ガスよりも、蛇口の方にフィチャーされて名付けられている。 更に、
機関車仮面。 仮面と呼ぶには大き過ぎる機関車がモチーフだ。新幹線よりも早く走る事が出来るが、機関車である。腰につけた小袋の中味は石炭。この量で新幹線以上のスピードで走る事が出来るのだ。ある意味、エコカーと呼んでも過言ではない。 |
このように、怪人たちはどれも個性的で愛くるしい存在である。ペットとして家に欲しい。僕が飼うとしたら、ゴリオリバーだろうか。力持ちだから何かと便利だと思うのだ。 冒頭で結婚するならヒーローで恋愛するなら怪人、などと言ってしまったが、それは言い過ぎであった。ペットでいい。 ※今回紹介した怪人たちは、グリコ「変身ヒーロースナック」のオマケカードから抜粋しました。 ( 2007/11/5 住正徳) |