【脚気とは】 もしかしたら脚気かも知れない、などと言っておきながら、それが一体どんな病気でどんな症状なのか、全く知らなかった。脚気を疑う前に、まずは脚気の事を知らないといけない。 病気の事で分からない事があったら、お医者さんに聞けばいい。という訳で、開業医の武藤先生から、脚気について色々と伺ってきた。 「そもそも、脚気ってどんな病気なのでしょう?」 武藤の武藤先生 武藤先生「脚気とはビタミンB1欠乏症の一種です。足がむくんできたり、倦怠感があったり、痺れを感じたりします。長い時間、正座した時に感じるあの痺れですね。あとは、腱反射異常。膝の下を叩いてピコンって足が上がれば正常、という例の検査で分かります」 むくみに倦怠感と痺れ、そしてピコンとならない。すべてビタミンB1の欠乏が原因らしいのだが、昔はその原因が分からなかったのだという。 |
【脚気の歴史】 武藤先生「ビタミンB1不足が脚気という疾患を起す、という事が分からなかった時代、脚気は結核と並んで2大国民病として恐れられていたんですね。1923年には脚気で約3万人近くの人が亡くなっているんです」 住「えっ?脚気で人が死ぬんですか?」 思わず聞き返してしまった。膝の下を叩いてピコンってなるか、みたいな原始的な検査で分かるくらいだから、割と軽い病気だと思っていたのだ。 脚気で3万人もの人が…… 武藤先生「そうなんです。原因が全く分からなかったので手の打ちようがなかったんですね」 3万人もの人たちが亡くなる少し前、日露戦争の時に脚気が急速に広まったのだという。 武藤先生「兵隊さんに沢山働いてもらう為に、当時は贅沢品だった白米を支給したんです。白米なんて普段は食べられないもんですから、みんな喜んで白米ばっ かりを食べていたんです。そうしたら、足はむくむし、だるくなるしで。おかしいなあ、と。ご馳走を食べているのに、何でだ?と原因が分からないまま、25 万人もの人たちが脚気になったと言われています」 脚気の原因を解明したのは、海軍軍医の高木医師であった。脚気になってる人とそうでない人、その両者の食生活の違いに目をつけたのだ。脚気にかかっている人はおかずを食べずに白米ばかりを食べていて、かかってない人はおかずをキチンと食べていた。偏った食生活が脚気の原因と分かったのだ。 武藤先生「江戸時代にも脚気の症状は出ていて、例えば地方の大名が参勤交代で江戸に来るじゃないですか。そうすると江戸にいる間は贅沢品の白米が食べられるからそればかりを食べて体調を崩し、地元に帰るとケロッと治ってしまう。そんな事があったようですね」 つまり、脚気は当時の贅沢病だった訳だ。 江戸の大名もかかっていたんです |
【脚気は現代病でもある】 それにしても、あれだ。足が痺れたり、ピコンとならないだけで何で死んでしまうのか? 武藤先生「脚気をそのまま放っておくと、心機能の低下、不全を引き起こしてしまうのです」 心不全とは恐ろしい。確かに死んでしまう。 でも、あれだ。現代の食事は栄養に溢れているから、きっと脚気の心配はないのだろう。 住「現代は脚気の心配はないんですよね?」 武藤先生「いえ、むしろ脚気は隠れた現代病とも言われています。大酒を飲む人、食生活が不規則な人、インスタント食品ばかりを食べている人、そんな人たちがかかりやすいんです」 僕の食生活は、その全てに当てはまってしまう。 もしかしたら、本当に僕は脚気かもしれない。 検査しよう 心配になったので、脚気を調べてもらう事にした。 そう、小さなハンマーで膝の下を叩くのである。 僕の脚気を調べる前にまずは先生の膝を叩かせてもらう事になった。脚気じゃない人はどんな風に反応するのか、この目で確認するのだ。 膝の下を叩くと ピコン あ、動いた。 武藤先生「ね、面白いでしょ。こんな風に反応すれば大丈夫です。さあ」 先生に促され、椅子に座る。足に意識が行き過ぎないよう、両手を胸の前で組んで外に引っぱり力を入れる。 それ ピコン あ、動いた。 武藤先生「大丈夫、脚気じゃないですよ」 もう一回 ピコン 意思と関係なく動くので、なんとなくくすぐったいのだが、とにかく良かった。 僕は脚気ではない。 良かったじゃないですか! 脚気は食生活に気を配れば充分に防げる病気である。 武藤先生「朝食を抜いて昼はソバで夜インスタント、そんな食生活を改めましょう。外食の際はなるべく何とか定食みたいなメニューを選ぶ。そして、豚肉、うなぎ、枝豆、おくら、かぼちゃ、そんな食材からビタミンB1を摂っていきましょう」 との事であった。 皆さんも十分に気をつけて下さい。でないと、ピコンってならなくなりますから。 取材協力:武藤クリニック http://www.hospita.jp/000475.shtml (2007/7/16 住正徳) |